進行性骨化性線維異形成症(FOP)とは?

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進行性骨化性線維異形成症(Fibrodysplasia Ossificans Progressiva:FOP)は、子供の頃から全身の筋肉やその周囲の膜、腱、靭帯などが徐々に硬くなって骨に変わり(異所性骨化と呼びます)、このため手足の関節の動く範囲が狭くなったり(図1)、背中が変形したり(図2)する病気です。生まれつき足の親指が短く曲がっているという特徴があります(図3)。この病気の患者さんは人口200万人に対して1人いると言われていますが、日本の患者さんの正確な人数は分かっていません。

図1 図2 図3

この病気の原因は、ACVR1と呼ばれる遺伝子(ALK2と呼ぶこともあります)の一部が正常と異なることであることが2006年に分かりました。しかしこの遺伝子の変化がどのようにして病気を引き起こすかはまだ良く分かっていません。またこの病気は、常染色体優性遺伝という形で遺伝することが分かっていますが、いわゆる突然変異による患者さんが多く、家族の中で複数の患者さんがいることは実際には少ない様です。


この病気の主な症状である異所性骨化は、乳児期から学童期にかけて初めて起きることが多く、まず皮膚の下が腫れたり硬くなったりして、時に熱を持ったり痛みを伴うことがあります。この症状をフレア・アップと呼びます。フレア・アップを繰り返しながら異所性骨化を生じ、手足の関節の動きが悪くなったり、背中が変形したりします。けがや手術などがきっかけとなってフレア・アップが起きることもあります。呼吸に関係する筋肉や口を動かす筋肉の動きも悪くなり、呼吸の障害が起きたり、口が開けにくくなったりすることがあります。


異所性骨化以外に、足の親指が短く曲がっている、手の親指が短い、手の小指が曲がっている、耳が聞こえにくい、髪の毛が薄くなるなどの症状を伴うことがあることが知られています。


現在のところ、この病気を完全に治してしまう治療法は現在ありません。原因となる遺伝子の変化は分かってきましたが、遺伝子治療は行われていません。フレア・アップを予防するためには、けがを避ける必要があります。特に転倒、転落はフレア・アップだけでなく、受身の姿勢を取れずに頭をけがしてしまうこともあるので特に注意が必要です。筋肉内注射は避けるべきですが、皮下注射や静脈注射には問題がないといわれています。また歯の治療に際して、無理に顎を開いたり麻酔の注射をしたりするとフレア・アップを生じることがあり、注意が必要です。またフレア・アップを生じた際に異所性骨化への進行を防ぐために様々な薬が試みられていますが、明らかに有効であると確認されたものはありません。


このようにFOPは日常生活上の障害が大きく、有効な治療法が知られていない病気であり、2007年に厚生労働省の難治性疾患克服研究事業の対象疾患になりました。このホームページは、この研究事業に係わる研究班の活動をお伝えすることを主な目的としています。

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